組織におけるバックオフィス業務では、従業員の健康管理も重要な課題ですね。
特に、近年注目されているのは、更年期を迎える従業員の心身のケアについてです。
NHKでは、『更年期症状によって仕事に何らかのマイナスの影響があった、いわゆる「更年期ロス」にあたる人は推計で100万人超。さらに、更年期離職による経済損失は男女合わせて年間およそ6300億円』との報道番組も組まれました。※
今回はバックオフィス業務の視点から、「更年期を迎える従業員の心のケア」「更年期ケアの重要性」などを考察していきます。
※https://www.nhk.or.jp/minplus/0029/topic042.html#section03
従業員の「更年期ロス」は、生産性に影響
一昔前なら、更年期と言えば「主に引退世代の問題」と見られた側面もありました。しかし、現在では、少子高齢化や女性の社会進出、働き方の多様化などを背景に、更年期は「現役世代が抱える大きな問題」となりつつあります。
更年期に関連した休職、離職など、またはモチベーションの低下などが組織の生産性に影響すること、すなわち経済活動に悪影響を及ぼすことは「更年期ロス」と呼ばれ、冒頭の記事のように、現代日本が直面する社会問題として認識されています。
<更年期障害の基礎情報>
更年期障害を発症すると、自律神経失調症に似た心身の不調に悩まされます。症状の感じ方には個人差が大きいものの、重症化するとうつに似た状態になったり、不眠など仕事や日常生活に支障をきたす体調不良を感じたりします。
更年期の悩みを抱える世代は、女性では40~50代に集中していて、男性では30代後半から70代までやや幅の広さが見られます。更年期の心身に異常が起きる原因は、男女ともに性ホルモンの低下という加齢要素です。ただし、ホルモン値が低いからといって必ず発症するわけではなく、発症のきっかけとしてその人の性格やストレスなどが関与すると考えられています。
<会社組織と更年期>
会社などの組織で更年期が問題となるのはやはり、更年期の世代が組織の中枢を担っている場合や、働き手としてもっとも主力である場合が多いからです。
実績や経験を積み、社内でも重要なポストについた人材が「更年期」を理由に離職してしまうと大きな損失です。また、40~50代の女性従業員(パートなどを含む)が主戦力、という職場も多々あることでしょう。
逆にもし、このような組織内で更年期ロスを効果的に予防できたら、高い生産性を維持できることにつながりますね。バックオフィス的な視点から考察しておきたいのは、そのような項目です。
悩みを抱え込ませないことが大切
更年期の電話相談窓口などに寄せられる意見として、「職場や友人に悩みを打ち明けづらい」「最初は心配してくれた家族も、だんだん話を聞いてくれなくなった」などが多く聞かれます。これは、更年期障害の症状が本人にしかわからないようなあいまいなものであったり、断続的に数年間続いたりすることが原因であると推測されます。
更年期の悩みの多くは「今までしなかったようなミスをしてしまった」「体力や気力が続かないときがあった」など些細な事から始まります。やがて「仕事を続ける自信がなくなった」「職場に迷惑がかかると思った」など、更年期の悩みを「自分のせい」にしてしまい、孤独を深めるパターンがよく見られます。
また、特に既婚女性の場合は、育児や介護の負担が集中する時期(トリプルケア)に重なってしまい仕事との両立に限界を感じてしまう例も見られます。
いずれにせよ、そういったタイミングで勤務先での問題(配置転換、昇降格、転勤など)があり、周囲から理解が得られない状況に陥ると、その人は更年期を理由にした休職や最悪の場合離職することになってしまいます。
そこで、バックオフィス業務として、また人事マネジメントとして「いかに悩みを抱え込ませず、寄り添っていけるか」が重要になってくるのです。
まとめ
バックオフィス業務の視点から、「更年期を迎える従業員の心のケア」「更年期ケアの重要性」などを考察してきました。
現代日本において、組織内での更年期ロスを防ぐことは、組織の生産性に大きくかかわってきます。そのために「更年期世代の従業員に対する、悩みを抱え込ませない、寄り添った対応」が求められています。
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また、この記事の【後編】では、「健康リテラシーの醸成」や「心理的安全性の向上」といった、強い組織づくりに関わるテーマにも踏み込んでいます。よろしければ、そちらもご覧ください。