
トイレに行ったとき、「あれ?なんだか痛いかも…」「排尿後に違和感が残る…」
そんな経験はありませんか?
「ちょっと疲れてるだけかな?」「膀胱炎かもしれない」と自己判断してしまうかもしれません。
でも、その排尿時の痛みや違和感、実は性感染症(STD)のサインという可能性もあるんです。
特に若い世代に感染が広がっている「クラミジア」や「淋菌(りんきん)」。
これらの性感染症は、排尿時の症状として現れることがあります。
放置すると、将来の健康や妊娠にも関わる深刻な問題につながる可能性も…。
この記事では、排尿時の症状とクラミジア・淋菌の関係、それぞれの病気の特徴や検査、放置した場合のリスクについて、わかりやすく解説します。
自分と大切なパートナーを守るために、正しい知識を身につけましょう。
目次
クラミジアってどんな病気?症状は?
クラミジアは、「クラミジア・トラコマチス」という細菌が原因で起こる性感染症です。
性行為(オーラルセックスやアナルセックスを含む)によって、性器やのど、直腸などの粘膜に感染します。
主な症状としては、下記のようなものが挙げられるようです。
【男性の主な症状】
- 排尿時の軽い痛み、ムズムズ感、かゆみ
- 尿道から透明~白っぽい、サラサラした分泌物が出る(量は多くないことが多い)
- 朝起きたときに、下着に分泌物がシミになって付いていることがある
【女性の主な症状】
- おりものの量が増える、色が変わる
- 不正出血(生理期間外の出血)
- 下腹部の痛み
- 性交時の痛み
排尿痛は男性ほど典型的ではないが、尿道に感染が及べば起こりうるようです。
【重要なポイント】
クラミジアの最も怖い特徴は、男女ともに症状がほとんど出ないことが多いことです。
特に女性では約8割が無症状とも言われ、感染に気づかないまま過ごしてしまうケースが少なくありません。
淋菌(淋病)ってどんな病気?症状は?
淋菌感染症(一般的に淋病とも呼ばれます)は、「淋菌」という細菌が原因の性感染症です。
感染経路はクラミジアと同様、性行為による粘膜接触が主です。
主な症状としては、下記のようなものが挙げられるようです。
【男性の主な症状】
- 排尿時の強い痛み(「尿道が焼けるような痛み」と感じる人も)
- 尿道から黄色っぽく、ドロっとした膿(うみ)のような分泌物が出る
クラミジアに比べると症状がはっきり出やすい傾向があります。
【女性の主な症状】
- おりものの量が増える(黄色っぽい膿状になることも)
- 不正出血
- 下腹部の痛み
男性に比べると症状が出にくいことが多いようです。
【男女共通】
クラミジアと同様に、のど(咽頭)や直腸に感染することもあります。
オーラルセックスやアナルセックスが原因となりますが、こちらも自覚症状がない場合が多いです。
また、クラミジアと淋菌に同時に感染しているケースも珍しくありません。
排尿時の痛み・違和感、性病以外の原因もある?
もちろん、排尿時の痛みや違和感の原因は性病だけではありません。
たとえば、下記のような原因が考えられます。
- 膀胱炎: 特に女性に多く、頻尿や残尿感、排尿の終わり頃のツーンとした痛みが特徴。
- 尿道炎(非性病性): 細菌感染や、カテーテル挿入などの物理的な刺激が原因となることも。
- 尿路結石: 激しい腰痛や血尿を伴うことが多い。
- 前立腺炎(男性): 排尿痛のほか、頻尿や会陰部(えいんぶ:股間)の不快感など。
これらの性病以外の病気の可能性もあります。
しかし、「性行為の後から症状が出始めた」「パートナーが変わった」「コンドームを使わなかった」など、性感染症を疑うきっかけがある場合は、その可能性も必ず考えることが重要です。
特に男性の場合、排尿時の痛みや尿道からの分泌物は、クラミジア性尿道炎や淋菌性尿道炎の典型的なサインです。
女性でも、感染が尿道に広がれば排尿時に軽い痛みや違和感を覚えることがあります。
「症状が軽いから…」はNG!放置するリスクとは?
「少し痛いだけだし」「そのうち治るかも」と放置してしまうのは非常に危険です。
クラミジアや淋菌は、症状が軽い、あるいは全くなくても、体の中で静かに進行し、深刻な合併症を引き起こす可能性があります。
たとえば下記のような合併症の可能性もあります。
【男性の場合】
- 尿道の炎症が奥に進み、精巣上体炎(せいそうじょうたいえん)を起こすと、精巣(睾丸)が腫れて激しく痛みます。
- 前立腺炎を引き起こすこともあります。
- これらの炎症が原因で精子の通り道が塞がれたり、精子を作る機能が低下したりして、男性不妊につながる可能性があります。
【女性の場合】
- 感染が子宮頸管から子宮、卵管、骨盤へと広がると、子宮頸管炎や卵管炎、骨盤腹膜炎(PID)といった病気を引き起こします。
- 卵管が炎症で詰まったり、癒着(ゆちゃく)したりすると、不妊症の原因となります。
- 受精卵が子宮に着床できなくなる子宮外妊娠(異所性妊娠)のリスクも高まります。これは命に関わることもある危険な状態です。
【男女共通のリスク】
- のど、直腸、目(結膜炎)への感染
- まれに関節炎を引き起こすこと(特に淋菌)
- パートナーへの感染拡大
- 妊娠中に感染していると、出産時に赤ちゃんに感染し、新生児結膜炎や肺炎などを引き起こす可能性があります。
早期に適切な抗菌薬で治療すれば、多くの場合きちんと治癒します。だからこそ、放置せずに早めに対処することが何よりも大切なのです。
「もしかして…」と思ったら?検査の方法とタイミング
「性病かもしれない」と不安になったら、まずは検査を受けて原因をはっきりさせましょう。
- どこで検査できる?
- 男性:泌尿器科、性感染症内科
- 女性:婦人科(産婦人科)、性感染症内科
- 地域の保健所でも匿名・無料で検査を受けられる場合があります(対応状況は自治体によります)。
- どんな検査をするの?
- 男性:尿検査が基本。症状があれば尿道分泌物を綿棒で採取することも。
- 女性:おりもの(膣分泌物)を綿棒で採取(内診台での検査)。尿検査で調べることもあります。
- のどの感染が疑われる場合:うがい液を採取。
- これらの検体を使って、クラミジアや淋菌の遺伝子(DNAやRNA)を検出する核酸増幅法(PCR法など)という精度の高い検査を行うのが一般的です。
- 検査を受けるタイミングは?
- 症状がある場合: できるだけ早く医療機関を受診しましょう。
- 症状はないが、感染の不安がある場合: 感染の機会があった日から1週間~3週間ほど経ってから受けるのが目安です(菌が検出可能な量まで増えるのに時間がかかるため)。
- パートナーが変わった、不特定多数との性交渉があったなど、リスクを感じる場合は、定期的な検査を検討するのも有効です。
【自宅でできる郵送検査キットについて】 病院に行く時間がない、対面での検査に抵抗があるという方向けに、自宅で検体を採取して送る「郵送検査キット」という選択肢もあります。プライバシーを守りながら検査ができますが、これはあくまで感染の有無を調べるスクリーニング(ふるい分け)です。もし陽性(感染の疑いあり)の結果が出た場合は、必ず医療機関を受診し、確定診断と適切な治療を受ける必要があります。
まとめ:早期発見・早期治療で自分とパートナーの未来を守ろう
排尿時の痛みや違和感は、体からの重要なサインです。「ただの不調」と片付けず、性感染症の可能性も頭の片隅に置いておきましょう。
クラミジアや淋菌は、自覚症状がないまま進行し、不妊などの深刻な結果を招くこともある病気です。でも、早期に発見してきちんと治療すれば、多くは治癒が可能です。
「おかしいな」「もしかして?」と感じたら、ためらわずに検査を受ける勇気を持ちましょう。それが、あなた自身の健康はもちろん、大切なパートナーの健康、そして二人の未来を守るための第一歩となります。正しい知識を持ち、適切な予防と早めの行動を心がけましょう。
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