最終更新日: 2025年01月30日
筋トレをする人の間では、運動前後のプロテイン摂取が筋肉の成長を加速すると広く信じられています。しかし、それは本当に科学的に証明されたことなのでしょうか？
最新のメタ解析（複数の研究を統合した統計的分析）によると、この「一般常識」は必ずしも正確ではないことが分かりました。今回は、世界中の研究データを基に明らかになった「筋力とプロテイン摂取の本当の関係」について詳しく解説します。
目次
研究が明らかにした3つの重要なポイント
「The effect of protein timing on muscle strength and hypertrophy: a meta-analysis」と題された論文は、23件のランダム化比較試験（RCT）を対象に、プロテイン摂取タイミングと筋力・筋肥大（筋肉の成長）の関係を徹底的に分析しました。この研究から得られた主な知見を紹介します。
1. 筋肉の成長（筋肥大）には、摂取タイミングよりも摂取量が重要
これまで、運動の直前または直後にプロテインを摂取することで、筋肉の成長が大幅に促進されると考えられてきました。しかし、このメタ解析では、タイミングそのものが筋肥大に与える効果は小さいことが示されました。
実際には、筋肉の成長を左右する最大の要因は、1日の総プロテイン摂取量であるとされています。論文によると、体重1kgあたり約1.6～1.8gのプロテインを摂取することで、筋肥大が最も効果的に進むと結論付けられています。
2. 筋力向上に対するタイミングの影響は限定的
筋力向上に関しても、プロテイン摂取のタイミングは決定的な要因ではありませんでした。多くの研究で、タイミングにかかわらず総摂取量が十分であれば、筋力向上に大きな差が見られなかったのです。
3. タイミングの「効果」は摂取量の違いによるもの
タイミングが筋肉の成長に効果的だとされる背景には、タイミングの良いとされるグループが1日全体でより多くのプロテインを摂取していたことが影響している可能性があります。つまり、「タイミングが良い」と思われる結果の多くが、実際には摂取量の違いによるものだったのです。
プロテイン摂取で筋肉を最大化する方法
論文の結果から、筋肉の成長を最大化するためには、以下のポイントに注意することが推奨されます。
1. 十分なプロテイン摂取を確保する
筋肉の成長には、体重1kgあたり1.6～1.8gのプロテインが必要です。この量は、筋肉の修復や成長に必要な量を満たします。特に、筋トレ初心者にとってはこの摂取量が重要で、筋肉量の増加に直接関与します。
2. タイミングよりも1日全体のバランスを重視
プロテイン摂取のタイミングは重要ですが、過度に意識する必要はありません。重要なのは、1日の中で必要量をしっかり摂取することです。タイミングに関係なく、適切な量を摂取すれば、筋肉成長への効果を得られることが分かっています。
3. テストステロンレベルを把握する
筋肉の成長を最大化するには、プロテインだけでなくテストステロンというホルモンのバランスも大きく関係しています。テストステロンは筋肉の成長を直接的に促進し、回復力を高める役割を持っています。テストステロンレベルが低下すると、筋肉の成長が鈍化するだけでなく、疲労感ややる気の低下につながることもあります。
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まとめ
今回ご紹介した論文が示すように、筋肉の成長や筋力向上には、摂取タイミングよりも1日の総プロテイン摂取量が鍵を握っています。また、テストステロン値を適切に管理することで、トレーニング効果をさらに引き出すことが可能と考えられます。
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●参考文献
Schoenfeld, B. J., Aragon, A. A., & Krieger, J. W. (2013). The effect of protein timing on muscle strength and hypertrophy: a meta-analysis. Journal of the International Society of Sports Nutrition, 10, Article 53. https://doi.org/10.1186/1550-2783-10-53