最終更新日: 2023年10月31日
薄毛は器質的な病気ではありませんが、その人の外観を大きく左右するため、心理面や社会生活に大きな影響を及ぼします。最近は男性型脱毛症(AGA)が話題ですが、男性に限らず、薄毛に悩む女性も増加しています。今回は薄毛の原因とその対策について解説します。
目次
■薄毛になってしまう原因は?主な原因を5つ解説します。
①栄養不足
毛髪はケラチンというタンパク質を主成分とし、亜鉛やビタミンといった栄養素によって発育が促されます。髪の健やかな成長にはこれらの栄養素が欠かせません。偏食や過度なダイエットは栄養不足をまねき、薄毛の原因になります。
②頭皮の血流不足
不規則な生活習慣や運動不足、喫煙は頭皮の血行を悪くします。頭皮の血流が不足すると、毛髪を作る毛母細胞や毛乳頭細胞に栄養素が行きわたらなくなり、成長が止まったり、抜け毛を引き起こしたりします。
③物理的な刺激
頭皮への物理刺激は毛根の細胞を傷害し、薄毛を引き起こします。主な原因として頭皮の洗いすぎや、頻回のヘアカラー剤やパーマ剤使用、ヘアアイロンや髪ゴムで毛髪を強く引っ張ること、紫外線の影響などが挙げられます。
④ホルモンの影響
男性ホルモンは骨や筋肉の発達を促し、ひげや胸毛を濃くするように作用します。しかし男性ホルモン感受性が高い前頭部や頭頂部の毛根においては、逆に毛髪が細く柔らかくなる軟毛化現象を引き起こします。これが男性型脱毛症(AGA)です。
男性ホルモンの一種であるテストステロンは、酵素によって強力なジヒドロテストステロンに変換され、男性ホルモン感受性の高い毛母細胞に作用します。これにより細胞増殖が抑制され、髪の成長期間が短縮してしまいます。
女性の場合は、閉経前後に薄毛に気付く人が多いことから、閉経による相対的な男性ホルモン増加が薄毛に関与している可能性が示唆されています。しかしながら男性ホルモン単独だけの影響では説明がつかない部分も多く、そもそもの加齢変化も要因と考えられています。
⑤遺伝
男性型脱毛症(AGA)の発症には、男性ホルモンだけでなく遺伝も関与します。ジヒドロテストステロン産生率の高さや男性ホルモン感受性の高さは、両親または祖父母から引き継がれる可能性が報告されています。
■薄毛にならないための対策は正しい生活習慣から。
薄毛にならないために、まずは日々の生活を見直してみましょう。良質な睡眠は取れているか、禁煙をしているか、自分の頭皮や髪質にあった洗髪ができているか、適度な運動習慣はあるか、タンパク質やビタミンを意識したバランスの良い食事がとれているかなど。薄毛が気になりだしたら以上の項目をチェックしてみてください。
特に日々の頭皮ケアを意識することが大切です。乾燥肌や脂性肌かによって、シャンプーの種類や頻度は異なります。頭皮の洗いすぎは逆に頭皮と髪を痛める原因です。過度な頭皮マッサージなども避けましょう。
ストレスだけが薄毛の原因になるという科学的な根拠はありません。しかしストレスによって睡眠のリズムが乱れたり、食事を食べすぎたり、偏った食事内容になったりすれば、結果的に毛髪へ悪影響を及ぼします。適度な運動で気分転換をして、ストレスを発散しましょう。運動自体にも血行改善効果がありますので、毛髪へ良い影響をもたらします。
■具体的な薄毛予防と治療は?
男性型脱毛症(AGA)は、生活習慣にかかわらず、ホルモンや遺伝が大きく関与します。近年、男性型脱毛症のメカニズム解明が進むにつれて、有効な治療法が開発され、皮膚科などの病院でも積極的に使用されるようになってきました。主に、内服薬と外用薬による治療方法があり、男性型脱毛症と女性型脱毛症とで推奨される治療方法が異なります。
内服薬にはフィナステリドとデュタステリドという薬があります。いずれもテストステロンが強力なジヒドロテストステロンへ変換することを阻害します。多くの臨床試験で脱毛改善効果が報告されており、脱毛改善効果に加え、脱毛進行を食い止める効果が期待できます。
外用薬にはミノキシジルの使用が推奨されています。男女ともに使用が可能で、こちらも多くの臨床試験で脱毛改善効果が報告されています。副作用は、まれにかゆみや皮膚炎などの皮膚症状が出現する程度で、比較的安全に使用できます。一方で、ミノキシジルの使い初めには休止期脱毛という一時的な脱毛増加があるため、使用中断のリスクがあります。あらかじめ使用に関しては注意と理解が必要です。
■自分の男性ホルモン、女性ホルモンの量は簡便にチェックできます。
いま現在、薄毛に悩まれている方、もしくは将来の薄毛に不安がある方は多いかと思います。ホルモンが薄毛に関与している場合、薬の治療で改善や予防が期待できます。まずは自分のからだの状態を把握することが大切です。
ウェルミルではご自宅にいながらリモート検査で自分の男性ホルモン、女性ホルモンの量をモニタリングできます。なかなか病院で相談する時間が取れない方や、病院を受診することに抵抗がある方は、ぜひウェルミルでホルモン検査を受けてみてください。
■まとめ
薄毛は老若男女問わず誰しも抱える悩みです。まずは正しい生活習慣を身に付け、薬での治療を含めて自分にあった薄毛対策をとることが大切です。自分のからだを知るために、ウェルミルでホルモン検査を行いましょう。
参考)
・男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版 日本皮膚科学会
・男性型脱毛症治療の現状と今後の展望 日薬理誌133,78~81(2009)
・毛髪と全身・他臓器 木下美咲 杏林医会誌 49巻2号 163-167 2018/6
・慶応義塾大学医療情報サイト 「脱毛症」