最終更新日: 2023年11月07日
「秋冬が近づくと、冷え性がつらい」
「若いころからずっと冷え性で困っている」
など、冷え性に悩む声は多く、世の中には食品から衣類まで、さまざまな冷え性対策グッズが溢れています。
もともと女性の多くは冷え性になりやすいとされ、近年は男性でも冷え性に悩む人がいるようです。
今回のテーマは「冷え性」です。知っておきたい基礎知識などをまとめました。
冷えは万病のもと
「身体の冷え」は医学的には、何らかの理由で血流が悪くなっている状態だと考えることができます。しかし、西洋医学において「冷え性」は特定の疾患名ではなく、あくまで体質として捉えられています。もちろん、「手足の冷えを感じること」や「寒気」などは症状の1つであり、何らかの疾患や身体のどこかの不調によって引き起こされている可能性があります。
したがって、西洋医学に「冷え性」そのものの治療という概念はありませんが、冷えの原因を検査して取り除く治療や、「冷え体質」自体を改善するアプローチは存在します。
また一方、東洋医学では「身体の冷え」はあらゆる不調につながる大きな問題とされていて、「冷え性」と同じ読みの「冷え症」として扱います。「冷え症」に対しては漢方や鍼灸などによる多様なアプローチが存在します。
いずれにせよ、「冷えを感じる」=「血液やリンパ液の循環になんらかの問題が生じている状態」ですので、我慢して放置するのはあまりよいことではありません。症状が軽ければ単なる不快感程度で済みますが、症状が重い場合はより重篤な不調へとつながる可能性があります。
具体的には
手足の指先などの末端の冷え・・・肌荒れを起こしたり、しびれやむくみ、こわばりといった症状に進んだりすることがある。
下半身の冷え・・・便秘や下痢、腰痛、足の痛みなどを引き起こしやすい。頭痛の原因になることもある。
全身(内臓)の冷え・・・便秘や下痢、息切れ、動悸、頭痛、肌荒れ、かゆみ、疲労感、免疫機能の低下などさまざまな不調につながりやすい。
上記は一例ですが、これらを読んで「自分は冷え性かも」と思った場合は、続きを読んで対策をとることをおすすめします。
冷え性の原因と対策は?
では冷え性の原因として考えられるものには何があるのでしょうか。主な原因を対策がしやすい順に紹介していきますので参考にしてください。
<衣服などの外的要因>
温度を含めた外的要因は厳密には冷え性の原因とは言えませんが、原因を探る上では最初にチェックしておきたい項目です。当然ながら、暖房不足またはクーラーの効きすぎで寒い場所、直接風が吹きつける場所などでじっとしているような場合は冷えを起こしやすいです。肌の露出が多い服装や、締めつけの強いタイトな服装も冷え性にはマイナスです。
見た目のオシャレさとのバランスは難しいところですが、手首、足首、脇、首回り、腰回りなど、大きな血管の通る部位は体温調節においても重要です。そうした部位を露出させない、タイツや靴下で締め付けすぎない、といった服装面での工夫は、かんたんにできる基本の冷え性対策になります。
<運動不足>
運動不足の人は、冷え性になりやすいです。全身の筋肉は身体を動かす以外にも大切な働き、すなわち体温を維持するための熱の発生や、全身の血液循環を助ける補助ポンプの役割があります。したがって、慢性的な運動不足で筋肉量が少ない人は、冷え性になりやすいのです。「女性に冷え性が多いのは、平均的な筋肉量が男性に比べて少ないから」という説もあります。
性別に関係なく、適度な運動の習慣が健康によいのは言うまでもありません。後述するホルモンバランスに対しても、ジョギングや筋力トレーニングなどの習慣はプラスに働くことがわかっていますから、運動不足を自覚している冷え性の人は、運動の習慣が効果的な対策となります。
<食事や水分補給>
複合的な要素として、食事での栄養面や水分補給の工夫も、冷え性対策として有効になり得ます。鉄分不足から貧血、そのために冷え性となっている女性が多いほか、血液循環に作用するビタミンやミネラルの不足、熱を作る糖やタンパク質の不足、暴飲暴食による腸内環境の乱れなども冷え性の原因になります。また水分不足で血液がドロドロだと、手足の指先などまでじゅうぶんに血液が回らず、冷えを感じてしまうでしょう。
バランスのよい食生活、適度な水分補給が冷え性対策にもなることは、意識しておきたいですね。それと、食事ではありませんが、血管収縮作用のあるニコチンを成分に持つタバコは冷え性への悪影響がとても大きいため、冷え性対策を優先させるなら、禁煙をおすすめします。
<自律神経やホルモンバランスの乱れ>
ここまでで「冷え性」の原因についていくつか紹介してきましたが、冷え性の原因としてもっとも大きな要素が、この「自律神経やホルモンバランスの乱れ」です。
体温調節や血液循環といった生命維持に必要な活動は、交感神経と副交感神経からなる自律神経によってコントロールされています。そして、この交感神経と副交感神経の命令を絶妙にコントロールしているのが、体内にある幾種類ものホルモンです。
ところが、このホルモンのバランスは些細なことでも崩れやすく、たとえばストレス、睡眠不足などの生活習慣の乱れ、生理や更年期などの生理現象といったことの影響をたやすく受けてしまいます。
ホルモンバランスが崩れると、血液循環を含めた体温調節機能もうまくいかない部分が出て、冷え性に悩むことになります。
現代生活において、ホルモンバランスを崩さないように、ストレスや生活習慣をコントロールすることは容易ではありません。したがって、ホルモンバランスを保つというのは理想論にはなってしまうものの、「究極の冷え性対策」と言えます。
まとめ
いかがでしたか?
少し難しい話にもなってしまいましたが、冷え性の原因や対策について紹介しました。
冷え性は慢性疾患のもとになったり、循環器や内臓の病気が潜んでいたりする場合もあるので、症状がひどい場合は早めに医療機関に相談することも大切です。
冷え性になりやすい自分の身体に対しては、原因を見極めたうえで、まずは生活習慣の見直しなど、できることから対策していきましょう。
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