最終更新日: 2024年02月19日
最近少しずつ無理ができなくなってきたな、と感じることはありませんか?人は誰でも年齢を重ねると体力、気力とも変化していきます。日常生活を普通に送る中で少しずつ変化は進み、いざという時の予備体力が少なくなっている、それがフレイルです。
フレイルは必ずしも病気ではないため、気づかないうちに進行している可能性があります。フレイルは生活習慣や生活環境の改善により回復することができます。今は問題なくても、高齢者になった時に元気な状態でいるために、フレイルについて知識を身に着けておきましょう。
この記事では、フレイルの概要について紹介します。
フレイルとは
フレイルとは「加齢に伴う予備体力の低下のため、ストレスに対する回復力が低下した状態」を表す「frailty」という用語をもとに、日本老年医学会が提唱した用語です。一見元気に生活していても、予備体力がなくストレスへの対応能力が低下しているため、ちょっとしたきっかけで自立した生活が困難になってしまいます。
フレイルかどうか判断する基準はいくつかありますが、日本では「J-CHS基準」が広く使用されています。握力低下(男性<26kg、女性<18kg)、(ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする、などの評価項目があります。
フレイルは高齢化が進む現代において重要な社会課題の一つであり、聞き馴染みの良い用語で注目を高めたいという狙いがあります。フレイルの他にも「サルコペニア」や「ロコモティブシンドローム」という用語もあり、要介護となる手前の状態を指す用語として広く知られるようになっています。
フレイルの種類
フレイルと一言にいっても個人が抱える問題はそれぞれであり、大まかに身体的フレイル、認知的フレイル、社会的フレイルに分類することができます。多くのフレイルの方はこれらのうち一つではなく、複数の問題を併せ持っています。
身体的フレイル
加齢に伴う体力の低下として、最もイメージしやすいのが身体的フレイルではないでしょうか。歩行速度の低下や筋力の衰え、バランスの低下などが要因となり転倒やけが、病気のリスクが高くなった状態です。また年齢を重ねると食事量の減少や、口腔機能の低下など食事に関する問題が起こりやすくなります。結果として起こる低栄養の状態は運動機能の低下に直結するため、身体的フレイルの原因として捉える必要があります。
認知的フレイル
フレイルは体力や運動機能だけでなく、認知能力も関わる概念です。認知的フレイルは、認知症ではないものの認知機能が低下しており、生活に関する予備能力が低下した状態です。慣れた日常生活の繰り返しであれば問題なく生活できますが、急なトラブルや環境の変化に対応するのが簡単ではありません。認知的フレイルと身体的フレイルは同時に起こりやすいことが知られています。
社会的フレイル
社会的フレイルは体の問題ではなく、生活状況など、その人がおかれた環境に問題がある状態です。人との関わりが少ないため助けを得ることができず、孤立した状態になりがちです。具体的な社会的フレイルとして、「外出頻度が1日1回未満の閉じこもり傾向」および「同居家族以外との交流が週1 回未満の社会的孤立状態」といった例が挙げられることがあります。
その他
上記3つのフレイルの他にも、「排泄フレイル」「オーラルフレイル」といった用語が使われることがあります。排泄機能の低下、口腔機能の低下を指す用語です。この2つは厳密に言えば身体の問題なので、身体的フレイルに分類されると考えられます。身体の中でも排泄や口腔について特別に用語が作られているのは、それだけ注目するべき要素だと考えられている、ということができます。
高齢者になっても自分の足で歩きたい
人は誰でも年をとり、フレイルになる可能性があります。予備体力を維持し、高齢者になっても自分の足で歩くためには、フレイルの対策を講じる必要があります。
複数種類があるフレイルの中でも、中核といえるのが身体的フレイルです。あまり気を配らずに生活していると、加齢とともに体力や筋力は低下します。低下し始める時期は人それぞれですが、早いうちから意識をして悪いことはありません。
身体的フレイルの対策には栄養と運動が重要です。フレイルを抱えた方でも、栄養や運動の対策をすることで予備体力が改善することが多くの研究で報告されています。
認知的フレイルや社会的フレイルについても、同じように対策が必要です。本人が自覚することは簡単ではないため、周囲の援助が重要になると言えます。
まとめ
フレイルの概要を紹介しました。コロナ禍の影響で身体活動が低下し、食事量が減りがち、人との関わりが少なくなりがちな日々は、フレイルに陥る危険性が高い状態と言えます。今こそ自分の生活や体力を見直してみてはいかがでしょうか。