夜中に目が覚める…これって歳のせい?睡眠の質を上げるためのおすすめと対策まとめ【不眠症対策】

最終更新日: 2023年11月30日

最近寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める──睡眠について、このような悩みを持つ方は多いのではないでしょうか。睡眠時間は変わっていないのに疲れが取れない、と感じるのはもしかしたら年齢とともに睡眠の質が下がっているからかもしれません。しかし、そもそも「睡眠の質」とは何なのでしょうか?なぜ年々下がってしまうのでしょうか?

この記事では、睡眠と老化の関係について解説し、良質な睡眠のために私たちができる対策を紹介しています。

「睡眠の質」とは

睡眠というと、睡眠時間に焦点が当てられることが多いですが、他にも大切な要素がいくつかあります。眠りに落ちるまでに必要な時間、夜中に起きる頻度、眠りの深さ、日中の眠気などです。重要なのはどれだけ寝たかよりも、毎日安定した睡眠が取れているか、日中を健全に過ごすことができているかなのです。そして、これらは私たちに備わっている体内時計と密接な関係があります。

体内時計と睡眠のメカニズム

私たちの体内時計は、1日周期でリズムを刻んでいます。夜になると体内時計からの指令でメラトニンという眠気を誘うホルモンが分泌され、体温が低くなり、私たちの体は睡眠の準備を整えます。朝が近づくにつれ、今度は覚醒を促すホルモンが分泌され、体温が高くなり、起床の準備を整えます。日光を浴びるとメラトニンの分泌が止まりますが、夜になるとまた体内時計から指令が出て分泌されます。このようにして、私たちの睡眠と覚醒のリズムが形成されているのです。

また、睡眠自体にもリズムがあり、私たちは約90分ごとに深い眠りと浅い眠りを繰り返しています。深い眠りはノンレム睡眠と呼ばれ、脳と体を休めている状態です。浅い眠りはレム睡眠と呼ばれ、体は休んでいますが脳は活動している状態です。入眠後、私たちはまず深い眠りに落ち、疲れ切った脳を素早く休息させます。その後は浅い眠りと深い眠りのサイクルに入り、起床時間が近づくにつれて浅い眠りが増えていき、覚醒への準備を整えていきます。

年々睡眠の質が落ちる理由

しかし残念なことに、加齢によって体内時計の調節機能が弱まってしまいます。このことが睡眠に与える影響は大きく2つあります。

一つ目は、メラトニンの分泌量が減少することです。メラトニンの分泌量は年齢とともに減少することが分かっています。高齢者ではごくわずかしか分泌されないため、年々早寝早起きになったり、睡眠時間が減ったりしてしまいます。これ自体は病気ではなく、眠くなった時に寝て、目が覚めたら活動するという過ごし方ができればさほど問題ではありません。

二つ目は、眠りが浅くなることです。年齢とともに深いノンレム睡眠が減って、浅いレム睡眠が増えるようになります。そのため、ちょっとした物音で目が覚めてトイレに行きたくなって起きてしまうのです。また、深い眠りが減ったことで脳が十分に休息できず、疲れが取れていないように感じてしまいます。

他にも、退職したことで日中の活動量が減ると、脳と体に適度な負荷がかからず寝つきが悪くなることがあります。年齢とともに睡眠の質が落ちたと感じるのは、加齢による生理的な現象と生活習慣、どちらにも原因があると考えられます。

より良い睡眠のためにできること

加齢を止めることはできませんが、生活習慣は変えることができます。ここからは、質の良い睡眠のために私たちができる対策を3つ紹介します。

1. 生活リズムを整える

体内時計の乱れは睡眠の質を下げてしまいます。規則正しい生活を心掛けることで、体内時計のズレを最小限に留めることができます。日光には体内時計のズレをリセットする効果があるため、朝起きたらまずはカーテンを開けて日光を浴びましょう。日中は仕事や趣味などでしっかりと活動し、夜はリラックスして過ごすと昼と夜のメリハリがつき、入眠がスムーズになり質の良い睡眠につながります。

2. 夜は強い光を浴びない

睡眠を促すメラトニンは、光を浴びると分泌が止まってしまいます。就寝前のテレビ、スマートフォン、ゲームはなるべく避けましょう。部屋の照明を間接照明にするのも効果的です。白昼色の照明は体内時計を遅らせる作用があるため、照明の色は暖色が理想的です。

3. 自分にあった寝具を選ぶ

意外と見落としがちなのが寝床の環境です。睡眠に最適な温度と湿度を保ってくれる吸湿性・放湿性・保温性にすぐれた寝具を選ぶと良いでしょう。マットレスも柔らかすぎず、硬すぎず、自分にとって楽な姿勢でいられるものを選ぶと、体への負担が少ないため深い眠りを保てます。

年々睡眠の質が下がっていると感じるのは、加齢による体内時計の変化や、生活習慣の乱れが原因かもしれません。ウェルミルのリモート検査で、身体のメンテナンスのきっかけづくりをはじめませんか?

参考文献

厚生労働省. 第3章 より健康的な睡眠を確保するための生活術

厚生労働省.e-ヘルスネット 休養・こころの健康. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart

武田薬品工業株式会社. 不眠と体内時計について考える 体内時計.jp

体内時計に働きかけることで、覚醒と睡眠を切り替えて、自然な眠りを誘う作用がある「睡眠ホルモン」、それがメラトニンです。
www.tainaidokei.jp