今からできるフレイル対策はある?運動や食事のポイント

フレイルになると、日常生活を普通に送ることができていても、いざという時の予備体力が低下しているためちょっとしたきっかけで自立した生活が難しくなってしまいます。フレイルは加齢に伴い誰でもなる可能性がありますが、対策を講じることで改善できることが知られています。

今からできるフレイル対策にはどのようなものがあるのでしょうか。運動や食事のポイントを中心に紹介します。

フレイル対策はいつから?40代からできることはある?

40代という年齢は色々な体の不調を感じ、健康の不安を抱きやすくなる時期です。疲労がなかなかとれない、集中力が続かない、腰が痛い、眠りが浅い、など経験したことがある方も多いでしょう。フレイルは「要介護手前」の状態なので、40代でフレイルに陥る方は多くありません。しかし早いうちから健康的な生活を意識することで、将来フレイルになる可能性を低くすることができます。

健康的な生活はしようと思ってすぐできるものではありません。少しずつ日常生活に健康的な習慣を取り込み、自分の一部にしていく必要があります。誰でも生活を変えようと思い立つには何らかのきっかけが必要です。体の不調を感じやすい40代という年齢は、フレイル対策を始めるのに適した年齢なのかもしれません。

フレイル対策は早いに越したことはありませんが、何歳からでも遅すぎることはありません。筋肉は何歳でも鍛えることができます。食事の改善と合わせて行うと、相乗効果が期待できます。

フレイル対策におすすめの運動習慣、生活習慣

いくつか種類があるフレイルの中でも陥りやすいのが、「身体的フレイル」です。筋力の低下、バランスの低下といった症状を予防するには運動が効果的です。運動は症状の予防だけでなく、すでに低下した予備体力を改善させることもできます。フレイル対策において中心的な役割を果たすといえます。

運動のやり方に決まった方法はありません。重要なのは、個人の体力や生活状況に合わせて「運動を習慣にする」ことです。体力に見合わない強度の運動や時間に無理のある運動は、一時的であれば実施できても、持続することはできません。始めは物足りない程度の運動でも、時間をかけて続けていくことで運動を習慣にすることができます。

運動が習慣になってくれば、強度を徐々に上げていくと良いでしょう。フレイル予防にはウォーキングなどの有酸素運動も効果的ですが、一定の負荷をかける「レジスタンストレーニング」はより効果的であると考えられています。

また、運動は外の世界とのつながりを作りやすい習慣の一つです。外に出た時に挨拶を交わしたり、何らかのコミュニティに属して運動をしたりすることは、体だけでなく精神や生活環境に好影響を与えます。フレイルの種類である「認知的フレイル」や「社会的フレイル」への対策としても効果的であると言えます。

意識して取るべき食品、おすすめのサプリメント

フレイル対策において運動とセットになるのが「栄養」です。必要な栄養を摂取した上で運動を行うことで、体力を向上させることができます。栄養が足りない状態で過度の運動をすると、かえって体力低下につながってしまうことがあります。

栄養について最も意識するべきなのは「バランス」です。必要な栄養素をまんべんなく摂ることが最も重要です。その上で、フレイル対策のポイントとなる栄養素として「タンパク質」と「ビタミンD」を取り上げます。

タンパク質

タンパク質は3大栄養素の一つで、人の体に欠かすことのできない成分です。摂取したタンパク質はアミノ酸に分解され、筋肉を合成するのに使われます。運動の効果を発揮するには必須の成分であると言えます。

身体的フレイルと近い意味である「サルコペニア」の予防・治療ガイドラインによれば、「1日に体重1kgあたり1.0g以上のタンパク質摂取はサルコペニアの発症予防に有効である可能性があり、推奨する(推奨レベル:強)」とされています。

体重60kgの人であれば1日3食で1食あたり20gということになります。タンパク質は肉や魚100g中に15-20g、卵1つに5.7g、絹ごし豆腐1/2丁に8.0g、牛乳コップ1杯に6.0g、ご飯1杯(180g)に3.5g程度含まれています。20gを目安にして献立を考えると良いでしょう。

ビタミンD

ビタミンDは日光や紫外線を浴びることで合成される成分で、カルシウムの吸収を促す働きがあります。高齢の方や若い女性は日光を浴びる機会が少なかったり、日焼け止めを使用したりすることで、ビタミンDが慢性的に不足しやすいことが指摘されています。ビタミンDの不足はカルシウムの不足から骨密度の低下につながるだけでなく、筋肉量の減少や転倒のリスク上昇、つまりフレイルの原因になります。

ビタミンDはさんまやかれい、さけやぶり、しらす干しなどの魚介類や、しいたけなどのきのこ類、卵などに多く含まれています。魚介類やきのこ類を摂る機会が少ない方は、注意が必要です。ビタミンDはサプリメントも多く販売されているため、補助的に使用する方法が考えられます。

まとめ

運動、食事によるフレイル対策について解説しました。まだまだ先のことと思っていても、自分の体力や気力は少しずつ変化しています。まずは歩いてみる・走ってみること、食事の内容を見返してみることから始めてみてはいかがでしょうか。