五十肩と更年期の関係は?どう治療したらいい?

多くの人は中年期にさしかかると、体の痛みや気分の不調を感じるようになります。そういえば最近肩が痛い、上がらない、という方はもしかしたら「五十肩」や「更年期」が関係しているかもしれません。

一見無関係に思える「五十肩」と「更年期」。両者には、実は一定の関係があるのです。この記事では、五十肩と更年期の関連性を探り、その対策について解説します。

五十肩とは

五十肩の定義と症状

五十肩は肩の動きを制限し、痛みを引き起こす状態です。肩関節周囲炎、凍結肩などと呼ばれることもあります。肩の関節の炎症が、関節包(関節を形作る袋)を硬くしてしまい、肩関節の運動範囲の減少を招きます。

なぜ五十肩というの?

50歳前後の人々に多く見られるため「五十肩」と呼ばれます。ただし実際には30歳代で起こることもあれば、60歳以上で起こることもあります。五十肩という用語自体は医学用語ではありませんが、病院やクリニックでも広く使われています。

五十肩になりやすい人

年齢が最も大きく影響する要素です。やはり50歳前後の方がなりやすいことに間違いはありません。加えて、糖尿病や甲状腺疾患などホルモンが関係するケースや、心疾患、脳血管疾患、パーキンソン病など、全身的な疾患が関係するケースがあります。

更年期について

更年期に多い、からだと心の症状

更年期は、女性の体調が変動する時期であり、通常は40歳代から50歳代頃に起こります。エストロゲンとプロゲステロンのホルモンレベルが大きく変動し、多くの身体的および心理的な症状を引き起こします。

更年期の症状には、ホットフラッシュ(のぼせ、ほてり)、不眠、イライラ、気分の変動、性欲の低下、頭痛、体重増加、記憶力低下、骨粗鬆症のリスク増加などがあります。

更年期は女性だけのものではなく、男性にも起こることがあります。男性更年期の症状には、性欲の低下、勃起障害、筋力低下、不安やイライラ、睡眠障害、体脂肪増加、記憶力低下、骨密度低下などがあります。

五十肩と更年期の関係

五十肩と更年期はどちらも50歳前後に発生することがあり、同時に起こることはまれではありません。ホルモンバランスの変動が肩関節の柔軟性や痛みと直接の関連があるかどうかは明らかではありませんが、女性ホルモン(エストロゲン)は抗炎症作用を持つため、そのレベルの低下は五十肩の発生リスクを高める可能性があります。

五十肩と更年期の症状を和らげる方法

適切な運動とストレッチ

定期的な運動とストレッチは、肩の柔軟性を向上させ、痛みを減少させるのに役立ちます。五十肩の運動とストレッチは、徐々に範囲を広げることが重要です。円を描くような肩の回旋運動や、腕を前方に引き上げるストレッチが効果的です。また、壁を使って肩の伸展や屈曲を行うことで、柔軟性を向上させることができます。

五十肩の初期は、夜寝ていても痛みを感じるなど、炎症と痛みが強い場合があります。症状が強い時期に頑張りすぎると、かえって症状を悪化させることがあります。ストレッチによって痛みを感じる場合は無理をせず、ゆっくりと行いましょう。

ホルモンバランスを整える

更年期には男性でも女性でも、ホルモンバランスが大きく変化しています。若い頃と同じ生活をしていては、その変化についていけず、五十肩など様々な症状を起こす原因になり得ます。

ホルモンバランスを整えるためには、バランスの良い食事と運動が重要です。ストレスを減らし、十分な睡眠を確保しましょう。過剰なアルコールやカフェインの摂取を控え、健康的な生活習慣を心がけると良いでしょう。五十肩の対策として行う運動やストレッチは、更年期の症状対策としても、効果的だと考えられます。

自身のホルモンバランスを知りたいという方は、唾液や血液で測定できる検査を検討してみましょう。

医療機関での治療

五十肩の治療には、痛みや炎症を和らげるための非ステロイド性抗炎症薬などの飲み薬が使われます。また、理学療法で可動域や筋力を改善し、炎症を抑えるための注射が行われる場合があります。痛みや動きの制限がひどい場合には手術も検討されますが、多くの場合、保存的な治療で症状が改善することが期待されます。

更年期の治療には、ホルモン補充療法(HRT)や抗うつ薬などの薬物療法があります。また、栄養補助や運動療法、心理的サポートも重要です。

五十肩や更年期の症状がつらく、長期にわたっている場合には、医療機関で相談してみることをおすすめします。

まとめ

五十肩と更年期は、多くの人が同時に直面する課題です。適切な運動や生活習慣の改善によりこれらの症状をやわらげ、生活の質を向上させることが可能です。自分の努力ではどうにもならない場合には、無理をせず、必要に応じて専門的な治療について医療機関で相談するようにしましょう。