最終更新日: 2024年10月22日
女性ホルモンは、エストロゲンとプロゲステロンという卵巣から分泌されるホルモンのことです。女性ホルモンの値は年齢によって分泌量が変化し、40~50代では急激な減少がみられます。この結果、身体面や精神面にいろいろな変化が起こります。この記事では、40~50代の女性が意識したい女性ホルモンの役割と、注意しておきたい病気について解説します。
女性ホルモンとは
女性ホルモンとは、女性特有の臓器である卵巣から分泌されるホルモンを指します。
そして、女性ホルモンには「エストロゲン」と、「プロゲステロン」の2種類があります。*1
それぞれの働きについては、以下のようになっています。
(1)エストロゲン
エストロゲンは、卵巣内にある卵子を成熟させ、排卵を促すという働きがあります。
また、女性の体を妊娠や出産に適した状態にする、いわゆる第二次性徴を起こすという作用もあります。
その他にも、骨を強く保つ、血管の壁をゆるめる、コレステロールの値を下げる、皮膚のハリを保つ、といった、全身への作用もあります。
最近では、エストロゲンが記憶に関連する脳神経細胞に影響を与えたり、不安に関連する行動を抑えたりする、という効果も明らかになってきています。*2
(2)プロゲステロン
プロゲステロンは、別名「妊娠ホルモン」とも呼ばれています。妊娠の継続や分娩にも深く関わっていますが、全身への作用についてはまだわかっていないことも多いようです。
女性ホルモンは40~50代でどう変動するのか
女性ホルモンの分泌量は、20代で最高となり、その後40~50代で急激に減少していきます。*1
引用)*1 女性ホルモンとライフステージ|働く女性の心と体の応援サイト 厚生労働省
なお、更年期障害は、この40代以降の性ホルモン分泌量の低下が原因で、自律神経失調症に似た症状が現れるものです。*1
女性が40~50代で気をつけるべき疾患
女性が40~50代以降に気をつけるべき疾患として、更年期障害・うつ・生活習慣病・関節痛・子宮体がん・卵巣がんなどがあります。*1
いずれも、女性ホルモンが減少することが関与していますので、以下に解説していきますね。
更年期障害
40歳を過ぎた頃から見られる様々な体調不良や情緒不安定な症状のことをまとめてこのように呼びます。*3
閉経前の女性の場合には、以下のような症状が現れます。*3
- のぼせ、顔のほてり
- 脈が速くなる
- 動悸や息切れ
- 異常な発汗
- 血圧が上下する
- 耳鳴り
- 頭痛やめまい
- 興奮、いらいら、不安感
- うつ、不眠
閉経後には、上記の症状に加えて膀胱炎や尿失禁、膝や腰などの関節痛なども現れ、無気力感も生じることがあります。
生活習慣病
エストロゲンが急激に減ることで、肥満やメタボリック症候群、脂質異常症、高血圧などの生活習慣病のリスクが高まります。
また、骨粗鬆症の発症にも、このエストロゲンの減少が関係しています。*4
子宮体がん・卵巣がん
子宮体がんや卵巣がんは、それぞれ発症のピークが50歳代、50~60歳代であり、40~50代の女性にとっても気をつけるべきがんと言えます。*5
子宮体がんでは、初期症状として不正出血がありますので、もしも気になる場合には婦人科を受診しましょう。
ホルモンのゆらぎに対して40~50代女性ができることは?
更年期障害に対しては、ホルモン剤などの薬物療法や漢方療法などの治療法があります。
気になる症状があれば、医師に相談することも大切です。
更年期症状かな?と思うことがあれば、まずは一度婦人科を受診してみるとよいでしょう。
自分自身でも取り組めることとして、マインドフルネスなどの心身療法なども効果が期待できます。*6
また、生活習慣病予防のために、健康的な食生活にしたり、運動習慣を身につけたりすることも重要です。
まとめ
40~50代では女性ホルモンの急激な減少によってさまざまな症状が現れます。
そのため、この年代の女性にとっては女性ホルモンのエストロゲンやプロゲステロンといったホルモンを意識することは大切です。
女性ホルモンは更年期症状の他にも、生活習慣病などにも関係しています。
また、この年代では子宮体がん・卵巣がんなどのリスクも高くなります。もし、気になる症状があれば受診するようにしましょう。
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参考
*1 女性ホルモンとライフステージ|働く女性の心と体の応援サイト 厚生労働省
*2 ライフサイクルと心身の健康ー女性ホルモンに着目してー.心身健康科学.2019;15(1):37‐41. p38-39
*4 エストロゲンが女性の心身の健康に果たす役割.日本家政学雑誌.2022;73(8):535-541. p51