最終更新日: 2024年01月12日
「40歳を過ぎた頃から、なんとなく体調がおかしい」
「発汗がすごい!これって更年期障害?受診したほうが良いの?」
このような悩みを持っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
更年期は、閉経の前後5年、合計10年間くらいの時期を指します。
今回の記事では、更年期は何歳頃からなのか、そして検査した方が良いのか、について解説していきます。
更年期とは何か
女性の場合、閉経前5年間と閉経後5年間の併せて10年間を更年期と呼びます。*1
そもそも閉経とは、卵巣が機能を終え、月経が終わった状態を指します。
日本人での平均閉経年齢は約50歳ですが、個人差も大きく、早い人では40歳代前半、遅い人では50歳代後半で閉経を迎えることになります。*1
つまり、更年期は人にもよりますが、平均的には45歳から55歳頃までの期間、ということになります。
更年期の症状
更年期障害は男女ともに40代以降に性ホルモンの分泌量が低下するために起こる、自律神経失調症に似た症候群です。*2
加齢などの身体的因子や人間関係などの社会的な因子も関連しています。
例えば、更年期の女性に特有の、仕事上の責任が重くなる、子供が自立して寂しくなる、といった心理的・社会的要因も関わってきます。*3
そして、更年期の症状は大きく、以下の3種類に分けられます。*2
血管の拡張などの血管運動神経症状
ほてりやのぼせ、ホットフラッシュ、発汗などがあります。
その他のさまざまな身体症状
めまいや疲れやすさ、動悸(脈が早くなり、ドキドキする)、胸が締め付けられる感じ、頭痛、肩こり、腰や背中・関節の痛み、冷え、しびれなどがあります。
また、尿もれや頻尿、性交痛などの泌尿生殖器の症状もあります。
精神的な症状
気分の落ち込みや意欲の低下、イライラする、情緒不安定になる、寝つきが悪くなるなどがあります。
検査は受けた方がいいのか
自分自身で体調の変化を感じ、「これって更年期かもしれない」と思うことがあるかもしれません。
しかし、更年期と診断するためには、以下のような条件を満たす必要があります。*4
(1)患者が更年期に該当すること。
(2)症状が他の病気によるものではないこと。
(3)症状のために日常生活に支障をきたしている。
という3点です。
つまり、更年期障害の診断は、血液検査のデータから決定されるのではなく、他の病気を除外することが大切ということになります。
そのため、気になる症状の原因が他の病気によるものでないかどうかを調べるためにも、医療機関で検査をうけた方が良いと考えられます。
実際に、更年期障害に似た症状を呈する、いくつかの病気があります。*3
引用)*3 更年期障害と労働.産業精神保健.2023;31(1):15-20. p17
そのため、気になる方はまずは婦人科や更年期外来や女性外来、あるいは内科を受診するようにしましょう。
実際に更年期障害の治療外来を受診した場合には、以下のような内容の検査を行っていくことになります。
・血圧、身長、体重の測定
・血液検査(貧血がないか、血糖値や脂質、腎機能などのチェック)
・子宮や卵巣の検査(超音波検査、細胞診など)
・乳房検査(触診、マンモグラフィーまたは超音波検査など)
・卵胞ホルモン(エストロゲン)や卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)のチェック
・骨粗鬆症の検査、心臓の検査(心電図など)、甲状腺のチェック、血液の固まりやすさの検査、心理テスト
などです。
個人の状態に応じて、追加項目がある可能性もあります。
更年期の治療法
更年期障害の治療には、以下のようなものがあります。*1
(1)ホルモン補充療法(HRT)
更年期障害の主な原因である、エストロゲンの減少を補う治療法です。
ほてりやホットフラッシュ、発汗などの、血管の拡張に関連する症状に特に有効で、他の症状にも効果が期待できます。
HRTで用いられるホルモン剤は、飲み薬や貼り薬、塗り薬などさまざまなタイプがあります。
(2)漢方薬
漢方薬は、複数の生薬を組み合わせて作られている薬です。
更年期の女性の多彩な症状に対して、心と体のバランスの乱れを回復する働きがあります。
(3)向精神薬
気分の落ち込みやイライラなどの精神的な症状が辛い場合には、抗うつ薬や抗不安薬などの向精神薬(こうせいしんやく)も用いられます。
現在は、副作用も少なく、精神的な症状の他にもほてりや発汗などにも有効な薬剤があります。
まとめ
更年期は個人差がありますが、多くの方では40~50歳代に訪れるものです。
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参考文献