NT-proBNPとは?かくれ心不全リスクを示すホルモン
NT-proBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)は、心臓の負荷が増すと分泌されるホルモンで す。心不全やその他の心疾患のリスクを反映する重要なマーカーであり、心臓への負荷を発見するために使われます。
普段の健康診断において、心電図を計測しますが、心電図からは分からない「かくれ心不全リスク」が存在します。心不全が原因となる突然死なども知られており、「かくれ心不全」を早期に発見することが必要になります。
BNPもNT-proBNPと同様の心不全マーカーですが、NT-proBNPは血清を使用でき、検体が安定であることから検査や保存が簡便であるため、信頼性も高いとされてより広く使用されています 。
NT-proBNP検査のメリットと注意点
NT-proBNP検査のメリットと注意点は以下のようになっています。
<メリット>
NT-proBNPはかくれ心不全や心疾患リスクを早期に発見できるため、適切な治療を早期に始めることができます 。また、心臓だけでなく、腎機能のチェックも同時にできるのが大きな利点です。さらに、血清を使用するため検査が比較的簡単で、冷蔵保存が可能です。
<注意点>
利尿剤や腎機能の低下が数値に影響を与えることがあるため、数値が必ずしも心臓の状態だけを反映しているわけではない場合があります 。また、肥満の場合にはNT-proBNPが上がりにくいという問題もあり、心エコーなどの他の指標と併用する必要がある場合があります。
まずは自宅で簡易的にリスクチェックをし、不安があった場合には医療機関で適切な精密検査を受けましょう。
NT-proBNPが高いとどうなる?心臓だけでなく腎臓のリスクも確認
NT-proBNPの数値が高い場合、心不全リスクが上がるだけでなく、腎機能の低下も示唆されます 。つまり、NT-proBNPは、心疾患リスクや腎機能の低下を早期に把握するための重要な検査です。
NT-proBNP検査が役立つ人は?生活習慣病や心疾患家族歴がある方におすすめ
NT-proBNP検査は、偏食、運動不足、喫煙者、心疾患の家族歴がある方など、心臓に負担がかかる生活をしている方におすすめです。また、心不全や心筋梗塞などの方がご家族にいる方も、NT-proBNP検査を受けることで早期に心不全リスクを知ることができる可能性があります。
その他、長距離トラックを運転する運送業者の方、高層で作業する建設業の方など、心不全を発症した場合に早期治療を受けづらい方には、特におすすめのリスクチェックと考えられます。
心不全を早期発見するためのNT-proBNP検査の見方
心不全を早期発見するためには、NT-proBNPの定期的なチェックが重要です。
なお、日本心不全学会では、以下のように基準値を設けています。
参考:日本心不全学会「血中BNPやNT-proBNP値を用いた心不全診療の留意点について」
<NT-proBNPの数値別 診断基準(参考)>
心不全の可能性は極めて低い
NT-proBNPが「55 pg/mL」より少なければ、 心不全の可能性は極めて低いと考えられます。
心不全の可能性は低いが可能であれば経過観察を
NT-proBNPが55 ~ 125 pg/mLの間であれば、実際に心不全の危険因子を有している症例でも、直ちに治療が必要となる心不全の可能性は低いと判断されますが、心不全症状を考慮し経過観察する必要があります。
前心不全-心不全の可能性がある(要精査または循環器専門医へ)
NT-proBNPが125~300 pg/mLの間であれば、前心不全(症状を認めない心不全の前段階)、または症状を認める心不全の可能性があります。心不全の危険因子を有する症例では、胸部X線、心電図、心エコー図検査などのより詳細な検査を実施するのが望ましいです。心不全を疑う症状や所見がなくても、慎重な経過観察が必要です。
心不全の可能性が高い(要精査または循環器専門医へ)
NT-proBNPが300~900 pg/mLの間であれば、心不全である可能性が高く、心エコー検査を含む心機能評価を早期に実施し、原因の究明が必要です。最新の心不全診療ガイドラインに準じた標準治療を開始する必要があります。
高リスク心不全の可能性が高い(要精査または循環器専門医へ)
NT-proBNPが900 pg/mLより多い場合は、近い将来に心不全悪化による緊急入院や死亡などの出来事が生じうる、「高リスク心不全」の可能性が高いです。原因の究明を行い、速やかに最新の心不全診療ガイドラインに準じた標準治療を開始することが必要です。
まとめ
NT-proBNPは、心不全や心疾患リスクの早期発見に役立ち、腎機能のチェックも可能です。生活習慣病や心疾患家族歴がある方にとって重要な検査であり、定期的な確認をすることで健康を守りましょう。
さて、現在NT-proBNPの検査には、病院で行うものの他にも、郵送で血液を採取し、簡単に検査ができるサービスが提供されています。
郵送検査には、ご自宅で簡単にいつでもできるという利点があります。
ウェルミルでは、甲状腺機能やホルモンチェックなどを自宅でできる、郵送キットのサービスをご用意しています。
ご自身の健康チェックのため、ぜひご活用ください。
参考文献
血中BNPやNT-proBNP値を用いた心不全診療の留意点について|一般社団法人 日本心不全学会
血中BNPやNT-proBNPを用いた心不全診療に関するステートメント2023年改訂版|一般社団法人 日本心不全学会
株式会社リプロセル(運営会社)について
iPS細胞ビジネスのトップランナーとして
株式会社リプロセルは、2003年に京都大学・東京大学発の再生医療ベンチャーとして設立されました。 2013年にはJASDAQ へ上場し、現在日本・アメリカ・イギリス・インドに拠点を有し、グローバルにビジネスを展開しています。
リプロセルは創業以来、先駆的にiPS細胞の事業化を進めています。2007年に京都大学の山中教授が、世界で初めてヒトiPS細胞を作製した実験でも、当社の培養液が使用されました。また2009年には、世界初のiPS 細胞製品としてiPS心筋細胞の販売を開始しました。
2024年現在、当社の製品は、世界中で9,000件以上の論文に引用されています。そして2016年より、本格的に再生医療分野に進出し、3つの再生医療製品の研究開発も進めております。
リプロセルは、今後ともiPS細胞ビジネスのトップランナーとして再生医療・医学・バイオ技術の発展に貢献すべく、挑戦を続けてまいります。
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