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はじめに
現代社会において、ストレスは避けて通れない問題となっています。そして、そのストレスと密接に関わるホルモンが「コルチゾール」です。この記事では、コルチゾールとは何か、その分泌メカニズム、ストレスによる反応、そしてコルチゾールの異常な状態がもたらす影響について詳しく解説します。ぜひ、参考にしてみてくださいね。
コルチゾールとは
コルチゾールは、副腎皮質から分泌されるホルモンです。
身体のエネルギー供給を確保し、炎症を抑え、免疫反応を調整する役割を持っています。また、主にストレス反応に関与するホルモンでもあります。
そのため、適切なレベルのコルチゾールは健康維持に不可欠です。しかし、分泌が過剰になったり、あるいは不足したりすると健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
コルチゾールの分泌量は、年齢や性差による変動はみられません。
しかし、1日の中で早朝には高く、夜間には低い値を示します。
コルチゾールが分泌される順序
コルチゾールの分泌は、視床下部-下垂体-副腎皮質系(HPA系)と呼ばれるメカニズムによって制御されています。
まず、ストレスを感じると視床下部から副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)が分泌されます。
それにより、下垂体から副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が放出され、副腎に信号が送られ、最終的にコルチゾールが分泌されます。
このプロセスはとても迅速に起こり、体がストレスに対処するための準備を整えます。
ストレスによる反応とは
ストレスを感じると、体は「闘争か逃走」という反応を起こします。
この反応により、心拍数の増加、血圧の上昇、エネルギーの供給が促進されます。
コルチゾールはこれらの反応をサポートし、身体が迅速に行動を起こす準備を整えます。しかし、長期間にわたる慢性的なストレスは、コルチゾールの持続的な分泌を引き起こし、健康に悪影響を与える可能性があります。
例えば、以下のようなものは、ストレスを感じることで生じる不適応反応です。
・急性ストレス障害(ASD): 強い精神的衝撃後に生じる一時的なストレス反応。
・慢性疲労症候群(CFS): 原因不明の強い疲労感が続く病気。
・心的外傷後ストレス障害(PTSD): 恐怖体験が原因で生じる長期的なストレス反応。
急性ストレス | 慢性ストレス | |
大きいストレス | 自然災害 交通事故 | 長時間労働 人間関係 |
小さいストレス | 電車の運転見合わせ メールの返信が遅い | 電車が混んでいる 道の渋滞 |
このように、ストレスを感じることでコルチゾールが分泌されるため、逆を言えば、コルチゾールを測定することで、現在どれくらいのストレスを感じているかを確認することができます。
コルチゾールを測定することでストレスレベルの変化を確認している例を紹介します。
①森林浴によるストレス軽減効果の確認
この実験では、被験者に9時から15時まで屋久杉の森に入らせ、40分間ずつ約2,000~2,500歩の森林浴を行い、唾液中コルチゾール濃度の測定を行っています。
図1では、それぞれ午後に行ったコルチゾール値の測定値をグラフにしています。
その結果、森林浴を行った群(森林浴1日目、2日目)は、行っていない群(対照)に比べ、コルチゾール値が低いことが分かりました。
②GABA飲料の接種によるストレス軽減効果の確認
この実験では、被験者に精神的なストレスとなる数学のテストを与え、唾液中のコルチゾール値を測ることでGABA飲料のストレスへの影響を評価しています。
図2では、それぞれ、テスト前、テスト前半、テスト後半のコルチゾール値を測定しています。
その結果、GABA飲料を摂取した群は、接種していない群に比べ、コルチゾール値が低いことが分かりました。
コルチゾールが高い/低い時のサイン
コルチゾールのレベルが通常より高い状態が続いた場合、体重増加、特に顔面や腹部の脂肪増加、筋肉の減少、高血圧、免疫力の低下、不眠などの症状が現れます。
一方、コルチゾールのレベルが低すぎる状態が続いた場合は、疲労感、低血圧、体重減少、食欲不振、筋力低下などの症状が見られます。
コルチゾール数値が高い場合の影響と対策
コルチゾール値が通常よりも高くなると、体に様々な影響を及ぼします。例えば、長期にわたる高コルチゾール状態は、体重増加や特に腹部や顔周りの脂肪蓄積につながりやすく、筋力が低下することもあります。また、高血圧や糖尿病などの生活習慣病のリスクも高まり、免疫機能が抑制されるため、感染症にかかりやすくなります。精神的な面でも、不眠や気分の不安定さ、集中力の低下などが見られることが多く、生活の質にも影響を及ぼす可能性があります。
高コルチゾールが続く場合、クッシング症候群のリスクが考えられるため、医師の診察を受けることが重要です。検査でコルチゾール値の上昇が確認された場合、まずは生活習慣の見直しが推奨されます。ストレスが主な原因である場合が多いため、運動や十分な睡眠など、ストレスを軽減するための取り組みが効果的です。また、コーヒーなどカフェインを含む飲み物や、過剰なアルコール摂取はコルチゾールを上昇させる可能性があるため、これらの摂取量を見直すことも効果があります。
医師の指導のもとで治療が必要な場合、薬物療法が行われることもあります。コルチゾール産生を抑える薬剤が処方されることがありますが、副作用のリスクもあるため、医師とよく相談して治療方針を決定することが重要です。
コルチゾール数値が低い場合の影響と対策
一方、コルチゾール値が低すぎると、体のエネルギー供給が不十分になり、倦怠感や脱力感が頻繁に現れるようになります。低血圧の状態が続きやすく、ふらつきや立ちくらみが起こりやすいことも特徴です。また、食欲不振や体重減少が見られることもあり、生活全体に大きな影響を及ぼします。慢性的な低コルチゾール状態が続くと、アジソン病の可能性もあるため、医療機関での診察を受けることが推奨されます。この病気は、重度の疲労感、体重減少、低血圧、食欲不振、色素沈着などの症状を引き起こします。
検査でコルチゾール値が低いと確認された場合、生活習慣の改善も対策のひとつです。特に、栄養バランスの良い食事が重要で、特にビタミンCなどの栄養素がコルチゾールの正常な分泌をサポートします。規則正しい生活や適度な運動も重要で、ストレスを感じやすい生活を送っている場合は、睡眠の質の向上などにも取り組むと良いでしょう。
医師による治療が必要な場合、低コルチゾールの状態を改善するために、副腎皮質ホルモンの補充療法が行われることがあります。これにより、コルチゾールのレベルが正常に戻り、症状の改善が期待されます。治療の際には、医師の指示に従って適切な量を服用し、副作用についても十分に理解しておくことが重要です。
まとめ
コルチゾールはストレス反応において重要な役割を果たすホルモンです。適切なレベルのコルチゾールは健康維持に欠かせませんが、過剰または不足すると健康に悪影響を及ぼす可能性があります。ストレスを管理し、コルチゾールのレベルを適切に保つことが、健康維持にとって重要です。
定期的なコルチゾールの測定が健康維持に役立つ可能性があります。
ウェルミルでは、唾液ストレスホルモン コルチゾール検査キットをご用意しています。
ぜひ、健康管理のためにご利用ください。
参考文献
https://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/177.html(シー・アール・シー)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpm/61/6/61_61.6_496/_pdf/-char/ja(Jpn J Psychosom Med)
https://www.jniosh.johas.go.jp/publication/mail_mag/2016/87-column-2.html(労働安全衛生総合研究所)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-031.html(厚生労働省)
ウェルミルの唾液コルチゾール検査
ウェルミルでは、コルチゾールを唾液検査で簡単に測定することができます。日内変動があるホルモンなので、朝起きてすぐの唾液採取がおすすめです。検査結果は検体を受領してから通常約2週間以内に見ることができます。唾液中のコルチゾールと血液中のコルチゾールの濃度は相関が見られることが知られていますので、検査結果を基に、今後の生活や対策の方針を考えることに役立ちます。
唾液検査とは
唾液中のコルチゾールと血液中のコルチゾールの濃度には、相関が見られることが知られています。そのため、血液を採取せずとも、コルチゾール値をより簡単に測定することができます。
ウェルミルの唾液検査は、スポンジを口に含むだけで検体を採取することができます。従来の唾液採取キットのように、長い時間をかけて容器に唾液を集める必要はありません。
検査の流れ
- 唾液採取・返送:自己採取キットで唾液を採取し、返送用レターパックで返送してください。
- 検査:検体を受領後、 唾液中のコルチゾール値を測定します。
- 結果の送付:検査結果はご登録のメールアドレスにPDFとして送付します。
※検査結果は診断ではありません。
検査結果数値はプレチェックとしてご利用いただき、体調に不安などがある場合は、かかりつけの病院など医療機関を受診するようお願いいたします。
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株式会社リプロセル(運営会社)について
iPS細胞ビジネスのトップランナーとして
株式会社リプロセルは、2003年に京都大学・東京大学発の再生医療ベンチャーとして設立されました。 2013年にはJASDAQ へ上場し、現在日本・アメリカ・イギリス・インドに拠点を有し、グローバルにビジネスを展開しています。
リプロセルは創業以来、先駆的にiPS細胞の事業化を進めています。2007年に京都大学の山中教授が、世界で初めてヒトiPS細胞を作製した実験でも、当社の培養液が使用されました。また2009年には、世界初のiPS 細胞製品としてiPS心筋細胞の販売を開始しました。
2024年現在、当社の製品は、世界中で9,000件以上の論文に引用されています。そして2016年より、本格的に再生医療分野に進出し、3つの再生医療製品の研究開発も進めております。
リプロセルは、今後ともiPS細胞ビジネスのトップランナーとして再生医療・医学・バイオ技術の発展に貢献すべく、挑戦を続けてまいります。
- ウェブサイト/https://reprocell.co.jp/
- 設立/2003年2月
- 上場/2013年(東証グロース 4978)